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会長挨拶

牧野憲一

 日本赤十字社病院長連盟は赤十字社傘下の全国の医療施設の院長が会員として自主的に集まった組織で、会員同士の親睦を図るほか、情報交換や相互協力し合いながら本社事業部とともに赤十字の医療活動の発展に努めています。

 世界の赤十字社の中で日本赤十字社の特徴は多くの病院を持っていることで、これは災害救護時の要員確保などにおいて大きな利点であります。赤十字病院は山形県、奈良県、宮崎県を除いて全国に90病院があり、救命救急センターや災害医療センターなどを備えた比較的大きな地域の中核的な病院が多いのが特徴ですが、地域医療を支える小規模な病院も少なくありません。病院の他に1つの産院と1つの健康管理センターも会員として参加しています。

 赤十字病院は明治19年(1886年)に博愛社病院が東京に設立されたところが始まりで太平洋戦争終戦時は38病院でした。その後新規設立や他機関から移管を受け、戦後10数年で90を超える病院を持つに至りました。戦後の平和憲法制定により日本は戦争を放棄することに伴い病院の任務も設立時の戦時救護から平時の災害救護活動に移っています。平成23年の東日本大震災での災害救護の活動はこの責務を発揮したものです。

 病院長連盟の歴史は昭和21年、戦後の混乱により本社による全国赤十字病院長会議が開かれない中で、当時の諏訪赤十字病院の佐藤元一郎院長の呼びかけで30数名の院長が諏訪湖半の布半旅館に集まったのがスタートであります。院長連盟60年史には「敗戦により赤十字社と赤十字病院は存立の岐路に立たされており、病院を預かる院長の苦悩はその極みに達していた」と記されています。爾来連盟は本社衛生部、医療事業部と緊張感を保ちながらも協力し赤十字の医療の発展に努めてまいりました。

 連盟の具体的な事業としては

 1,赤十字医療施設運営のための情報収集、調査研究並びにその対策

 2,赤十字医療施設関係者の資質の向上および教育指導

 3,日本赤十字社の事業計画を円滑に遂行するための調整

 4,他の医療関係団体との連絡調整

 5,機関誌その他刊行物の発行

 6,その他前条の目的達成のための必要な事業
    …全国赤十字病院スポーツ大会の主催、日赤医学会や各種研修会等の関係協力


を上げています。

 私達は赤十字病院として規模や機能は様々であっても災害医療や、救急医療、がん医療を中心に医療の面から地域に貢献することを通して赤十字の理念の実践や赤十字思想の普及啓発に努めて参ります。



日本赤十字社病院長連盟会長

牧野憲一